ロードバイク
リタイアしてそろそろ一年、まぁたまにゴルフはやるが他にはこれといった運動もせず、大リーグがあるときは朝から、相撲があるときは夕方からテレビに齧りつき、たまにバラの手入れをしたり料理をしたりと、なんとか時間は潰しているがそれだけではどうにも体がなまってしまう。
(これではいかん!)となにか体を使う趣味はないかとブログを見ていたら、あるある中高年の趣味のブログがたくさんある。
ゴルフはもちろんトレッキングやら旅行やら写真やら、もちろん料理や英会話などのものづくりを楽しむから教養を身に付ける、あるいは資産運用のためのマネープランまで実にさまざまな種類のブログがある。
だがどれもありきたりであまり食指が動かない。
中には山登り専門の、旅行と自然散策と運動を兼ね備えたいかにも素晴らしそうなブログもあるが、これもそこに行くまでに時間がかかり過ぎ、準備もめんどうくさそうで手軽さに欠ける。
なんとかその気になって準備を整え、さぁ出発と出掛けても天気が悪ければなんにもならない。
楽しめるための好条件が多岐にわたり過ぎるのである。
《手軽に体づくり》
ことトレッキングに限って云えば特に関東は条件が悪い。
平野が広いせいか登れる山が都心から遠く、行くまでに時間が掛かる。
確かにそうだろう、よっぽど晴れてでもいない限り都心からは遠過ぎて山なんて見えないんだから・・・・。
その点関西は少し違う、どこからでも必ず山が見える。
大阪の市内からでも京都のぼんと町からでもすぐ目の前に山が見える。
ということは山が近く、そこに行くまでにさほど時間がかからないということだ。
住んでいた芦屋は特に条件が良かった。裏はもう六甲だ。
まるで裏山である。
(もっと景色のいい山とか秘境みたいな山がいい)とか、贅沢を言わなければ家からすぐに山登りができ、登山口までバスに乗ることもない。
朝起きて裏の山を眺め、頂上が雲で見えないときはまた布団に潜り込む。
次の日晴れて頂が見えたら準備をして登り始める。
それで充分に行って帰って来れるのである。
山登りが実に手軽なのだ。
といっても油断は禁物だ。
始めて六甲に登ったときは裏山に行く気分で、装備も食料もなにも準備せずに登り始めた。
バカにして地図も持たずただ人についていくだけで、途中ロックガーデンなどと名前のついた場所があるのも知らず、そこでは昔“ロッククライミングの練習をしていた”などということももちろん知らず、恐いもの知らずでただ登り始めたのであった。
それでも登り始めて二時間ほどは何事もなく、なんとか歩いた。
二時間を過ぎるころから急に足が重くなる。
履物はスニーカーでズボンはジーパン、もちろんリュックは持ってないから食料はなく、あとで考えればよくぞ水だけは持っていったものだと変な感心はしたが、とにかくそれだけである。
途中、シートを広げ休憩している人に何度となく出会ったが、みな弁当箱をひろげて片手におにぎり、そしてもう片方には卵焼きなぞをつまんでいる。
なかにはビールを飲んでいるやつもいるではないか。
(うッ、旨そう!)ビールが飲みたい。
(どこかにコンビニはないのか!)と捜してみるが、そんなものあるわけない。
とにかく疲れて暑くて(もう動けない!)、何度となく休んだが(もうー、歩きたくな~いッ)としばしぼう然と座り込んでしまった。
(戻ろうか)と悩むもこれまで二時間も歩いてきた道のりのことを考えるとその気も失せる。
とにかく戻ることも進むこともできず、誰か(助けてくれ~ッ)と叫びたい心境で、できればヘリコプターを呼んでほしいほどのつらさであった。
まさかこれほどとはつゆ知らず、裏山に登るつもりで来たのに大変な目に遭ってしまった。
しばらく休んでいたが(結局登るしかないか)と諦めとにかく上を目指した。
何度も何度も休み、くたくたになりながら人の倍以上の時間を掛け、それでもなんとか頂上にたどりついた。
驚いたことに頂上には立派に舗装された道路もあり、車もたくさん行きかっているではないか・・・・。
なんと売店もあり、そこではビールもカレーライスも売っている。
(な~んだ、こんなところか?)と唖然としたが、山道は急で登りはきつく、こんなつらい思いは記憶にない。
疲れすぎて売店では何も食べる気がせず、かき氷を食べたのみであった。
それ以来何度となく六甲にも登ったが、割と気軽に行ける山であることがわかり、ルートも多く次第にそこが好きになっていった。
だが危険な場所も多く、不充分な装備で冬山に登ったりすると、ときとして痛い目に遭う。
冬、凍ったガケで足を滑らせ、ヘリコプターで運ばれた話も聞いた。
油断は禁物である。
もちろん他の山に行くときはそれなりの準備はするが六甲は比較的その必要がなく、しかも健脚な人でもゆうに三時間ほどは掛かり、健康づくりのための運動にはもってこいだ。
右スナップは新潟県の妙高(本文とは直接関係ない、クリックで拡大表示)。
手軽過ぎて車ででも行けてしまうので人が多過ぎることが難点だが、危険度は少ない。
この点も体づくりを主眼としている人には好都合だ。
だがどういうわけかそれ以来山の虜になり、装備も揃えて足腰を鍛え、アルプスにも行き冬山にもよく登った。
それにしても準備に時間がかかり過ぎ、天候にも左右されやすい。
なんとかもっと気軽に楽しくそして(体のためになるものはないだろうか?)と欲張ってなおも探していたら、(あったッ!)自転車に関するブログを見つけた。
《決心》
自転車なら家からすぐにどこへでも乗って行けるし、途中でいやになったら帰ってくればいい。
これ以上気軽なものはない。
だが、ただ乗っているだけではおもしろくない。
いつもいつも近くの公園じゃ風景も人物も変わり映えせず厭きてしまう。
50年も住んでいるこの近辺じゃ、どこへ行ってもみなよく知っているしつまらない。
なにかもっと興味のある(厭きのこない工夫はないものだろうか)と探していたら・・・・。
あったあった厭きのこないおもしろそうな自転車があった。
確かにこれは興味はあるがなかなか手ごわそうだ。
その気になって調べだしたら結構奥が深く、どうやら自転車にはさまざまな種類があるらしい。
我々になじみの深いママチャリから始まり、山道や悪路を走行するためのマウンテンバイク、スピードを競うため機能を極限まで高めたロードバイク、その両方の利点を兼ね備えたクロスバイクなどなど・・・・。
それらはある程度技術を要する専門的な自転車だが、あまり力を必要としない電動補助付きのものから折りたたみ式のもの、学生さんがよく乗っている小径のものまで実にさまざまである。
(これはうちのママチャリと違って乗り応えがありそうだ!)と最初に目を引いたのがロードバイクだ。
だが、ブログを読むほどに乗りこなすのが難しそうで、値段もすこぶる高い。
他の自転車とは一線を画している。
スピードも出るらしく都会では車が多すぎて危険過ぎる。
しかし山みちを走るためのマウンテンバイクでは、その機能を充分に発揮させるために近くの山まで出向いて行かなければならず、それに時間が掛かってしまう。
街中で走っていたんではMTBの意味がなく、これもやはり気軽に楽しめそうにない。
それじゃ(その両方の機能を兼ね備えたクロスバイクはどうだろう)と考えを巡らせたが、それとてもただ近隣を乗り回すのみで(そのうちきっと厭きてしまう)に違いない。
おのれの飽きっぽい性格を見抜いているので、とにかく厭きのこないやりがいのある(難しい自転車にしよう)と決心したのであった。
《続く》
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